よくある質問

メッキや塗装などの金属における表面処理に関して教えてください。

A

表面処理とは

表面処理とは、機械工学等の分野において、メッキや塗装など、表面の性質を高めるために行われる機械工作法の一つです。表面処理の目的としましては、硬度や耐摩耗性、潤滑性、耐食性、耐酸化性、耐熱性、断熱性、絶縁性、密着性、装飾性などの性質のいくつかを向上させることです。

 

表面処理の種類

以下に表面処理の種類を記載しますので、ご参考ください。

 

金属皮膜処理

まずは金属皮膜処理について、ご紹介します。

 

①メッキ(plating)

メッキは、材料の表面に金属の薄膜を被覆すること。装飾、耐食、表面硬化、機能性付与を主な目的としています。また、目的や用途に応じて様々なメッキの方法が使い分けられます。

 

A.電気メッキ(electroplating)

電気メッキとは、電流を流すことでメッキしたい物質を含む溶液、溶融塩、または固体電解質からその物質を還元させて、導電性のある材料表面に薄膜を形成させる方法のことを指します。電気メッキが可能な金属は多く、膜厚の調整が容易、外観美しい金属光沢が得られる、被メッキ材料の物性を損ないにくいといった特徴があります。

 

B.無電解メッキ(electroless plating)

無電解メッキとは、電流を流さず化学反応を用いてメッキする方法のことを指します。材料金属とメッキ金属の置換反応でメッキする置換メッキと還元剤を用いての自己触媒反応を利用した還元メッキの2つに、無電解メッキは分けられます。無電解メッキは、複雑形状の材料でも膜厚ばらつきを抑えたメッキが可能となりますが、化学反応によるメッキなので処理液などの管理が重要とされています。

 

C.溶融メッキ(hot dipping)

溶融メッキとは、溶かした金属に被メッキ物を浸けてメッキする方法のことを指します。通称「どぶ漬け」「てんぷらメッキ」とも呼ばれます。溶融メッキは、厚い膜厚が得られる、大型の被メッキ物でも短時間で加工できる、連続してメッキできる、筒の内側など手の届かない箇所もメッキできるといった特徴があります。

 

D.蒸着メッキ(deposition plating)

蒸着メッキとは、金属や酸化物などを蒸発させて、被メッキ物の表面に付着させる表面処理方法のことを指します。物理蒸着(PVD)と化学蒸着(CVD)に2つに大別されます。

 

・真空蒸着

真空蒸着とは、真空にした容器中で、蒸着材料を加熱し気化させ、被メッキ物に接触することで表面処理する方法のことを指します。真空にするのは、蒸着材料と空気中の分子との衝突を防ぐことと蒸着材料の蒸発温度を下げるためです。気化した蒸着材料を使うため、コーティングのムラが少なく、非金属にも対応でき、酸やアルカリに弱い素材にも適しているが、真空装置によるコストと加工限界があります。

 

・スパッタリング(sputter deposition)

スパッタリングとは、真空にした容器中で、高電圧をかけてイオン化させた不活性化ガスを成膜材料に衝突させ、飛び散った成膜材料を被メッキ物に付くことで表面処理する方法のことを指します。真空蒸着では用いにくい高融点金属や合金などの成膜も可能で、酸素などの反応性ガスを用いれば、成膜材料の化合物を製膜することもできます。(反応性スパッタリング)。

 

・化学蒸着(CVD, chemical vapor deposition)

化学蒸着とは、蒸着材料を含む気体原料を送りこみ、熱や光などのエネルギーを与えて化学反応を起こし、被メッキ物表面に表面処理する方法のことを指します。真空蒸着とは異なり、高真空を必要としません。化学反応を用いているため、成膜が速い・処理面積も大きい・膜の均一性がある・膜厚を調整できるなどの特徴があります。

 

②溶射(thermal spraying)

溶射とは、加熱して溶融またはそれに近い状態にした粒子を、被施工物表面に吹き付けて皮膜を形成する表面処理のことを指します。溶射は、材料の範囲が広く、吹き付ける材料(溶射材)と被施工物には金属の他にプラスチック、セラミックスなどを用いることができます。また、大きい被施工物(橋や鉄塔など)にも適用でき、現地での施工ができるほか、被施工物に対する熱の影響を比較的少なくして、厚い膜を比較的容易に速く成膜できるといった特徴があります。

 

非金属皮膜処理

次に、非金属皮膜処理についてご紹介します。

 

①塗装(painting)

塗装とは、材料表面を塗料などの皮膜を形成する表面処理のことを指します。一般的に塗装は物体の装飾、保護、防錆または識別の目的で行われます。一般的な塗装方法としてハケやローラーで塗ったり、塗装スプレーで吹き付けたりといった方法があるが、他にも焼付硬化型の塗料を用いて加熱硬化させる焼き付け塗装、被塗物を塗料中に漬ける浸漬塗り、電流を流し塗装する電着塗装、塗料と被塗物を帯電させる静電塗装などの方法があります。

 

②ホットスタンピング(hot stamping)(箔押し)

ホットスタンピングとは、キャリアフィルムに金属や熱可塑性樹脂をコーティングしたホットスタンプ箔を用いる表面処理方法のことを指します。その工程としては、被転写体にホットスタンプ箔のコーティング層を当てて、キャリアフィルム側から加熱・加圧を行い、コーティング層を被転写体へと付着させるといったものです。前処理、乾燥工程、インクが不要・多色印刷が1工程でできる・コーティング層によっては様々な表現ができるなどの特徴があります。

 

陽極酸化処理

金属皮膜処理、非金属皮膜処理につづき、陽極参加処理についてのご説明です。

 

①アルマイト処理

アルマイト処理とは、アルミニウムを処理浴に入れて、陽極として電気分解することで、アルミ表面を電気化学的に酸化させて酸化アルミニウム皮膜を形成する方法、およびアルミニウムの陽極酸化皮膜の総称のことを指します。アルマイト処理は、アルミニウムの耐食性、耐摩耗性、装飾性向上に用いられます。

 

化成処理

化成処理とは、素材、特に金属表面に処理剤を作用させて化学反応を起こさせることで、耐食性や塗料との親和性など、元の材質と異なる性質を与える表面処理の一形式のことを指します。

 

①煮色仕上げ

煮色仕上げとは、銅や銅合金を薬液中で煮込むことで、表面に化学反応による皮膜を形成し、独特な発色の表面に仕上げることを指します。煮色仕上げは、主に日本の金属工芸品の仕上げに使われています。

 

②クロメート処理

クロメート処理とは、素材金属をクロム酸塩溶液に浸漬し、不動態化させることで表面にクロメート皮膜を形成する処理のことを指します。クロメート皮膜は自己修復性を持つ酸化皮膜であるため、約0.3µmと非常に薄い膜に対して高い耐食性を持ちます。色や種類も豊富で黄色や黒色や虹色の光沢を出すクロメート処理もあります。また、クロメート処理は、素材に直接行う他に、メッキの後処理として用いられることが多く、特に亜鉛メッキはほぼ後処理としてクロメート処理がなされています。六価クロムは環境破壊物質のため、三価クロムが代替品として主流です。

(クロメートはchromate、クロム酸塩という意味の英語を片仮名読みしたものです。)

 

③リン酸塩皮膜処理(パーカーライジング)

リン酸塩皮膜処理とは、リン酸塩溶液を用いて素材金属表面に科学的にリン酸塩皮膜を形成する処理のことを指します。リン酸塩皮膜は不溶性であり、表面の腐食を抑制します。また、リン酸塩皮膜処理は、塗装前の処理としても行われます。(工業的に発展させたパーカー兄弟にちなんでパーカーライジング、パーカー処理とも呼ばれます。)

 

④黒染め

黒染めとは金属表面に四三酸化鉄皮膜を形成する表面処理のことを指します。

 

表面硬化処理

最後に、表面硬化処理について説明します。

 

①火炎焼入れ

火炎焼入れとは、高温の炎を吹き付けて材料金属の表面を焼入れし、表面を硬化させる方法もことを指します。火炎焼入れは、表面は硬く心部は靭性を持たせることができ、疲労強度が向上します。火炎焼入れは、焼入れ性が悪い材料でも適用しやすいです。また、全体焼入れよりも処理時間が短いです。全体を焼入れしないので変形を小さく抑えられる(ただし、片側だけだと大きく変形する)などの長所がありますが、炎の調整が難しく温度制御が正確にできないため専門的の技能が必要です。しかし、燃料の爆発などの危険があるなどの短所もあります。

 

②高周波焼入れ

高周波焼入れとは、高周波電流による電磁誘導で素材金属表面を焼入れし硬化させる方法のことを指します。原理としては素材金属に導線をコイル状に巻き付けて、導線に交流電流を流すと、コイル内部に電磁誘導による磁界が発生し、素材金属には渦電流が発生といったものです。この渦電流は表皮効果により金属表面に多く流れるため、素材金属が持つ電気抵抗で金属表面のみが加熱され、焼入れが行われます。また、高周波焼き入れは、時間をかけて心部まで熱が入るようにすれば全体の焼入れも可能です。電磁誘導を用いるため、素材金属は磁性体にのみ適用されます。高周波焼入れは、通常の焼入れと同じく炭素量をある程度含んでいないと焼きがはいらないので、一般に機械構造用炭素鋼や低合金鋼に適用されます。

焼入れ深さは、周波数の調整で可能なので調整が容易であること・交流電流を流すだけなので短時間でできること・表面から深いところまで焼入れできることが長所ですが、大型の材料や複雑形状の材料は適していないという短所があります。

 

③ショットピーニング

ショットビーニングとは、ショット(投射材)と呼ばれる粒状物を、空気圧や遠心力により投射して被加工物にぶつけ、ます。衝突により被加工物表面は塑性変形が起き、それにより加工硬化、圧縮残留応力の付与を目的とします。ショットビーニングは、疲労強度、耐摩耗性、耐応力腐食割れ性が向上するが、表面が凸凹になるので摩擦特性の悪化、相手側にキズを付けやすくなるなどの短所もあります。

 

・浸炭

浸炭とは、金属(特に低炭素鋼)の加工において、表面の硬化を目的に炭素を添加する処理のことを指します。また、浸炭を行うと表面の炭素量が多くなります。焼入れ硬度は炭素量に強く依存するため、この状態で焼入れを行うと、心部は靭性を保ちつつ、表面のみを硬化させることができます。また、浸炭を行うと、表面と心部との間に応力が生じ、割れに対する抵抗性を持ちます。浸炭の手法としては、いくつかあるが現在ではガス浸炭が主流です。浸炭はあくまで金属表面に炭素を付与するだけで、硬化自体は焼入れ、深冷処理、焼き戻しに基づきます。

 

・窒化処理

窒化処理とは、窒化物を形成する元素を含む鉄鋼やチタン合金を窒素またはアンモニアを含む雰囲気中に暴露し、オーステナイト化以下の温度で加熱することで、表面に窒素を浸透させて硬化させる処理のことを指します。窒化処理は、表面に窒化物を形成することにより、表面が高硬度になり耐摩耗性に優れています。また、窒化処理は、処理前よりも優れた耐食性を持つこともあります。窒化処理は窒化物の表面析出による硬化なので、寸法変化が少なく、500℃~600℃程度の高温下でも軟化しにくいといった特徴がありますが、表面の窒化層が0.1mmレベルなので、大きな衝撃や面圧がかかるような環境は不向きです。

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