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アルミの種類とそれぞれの特徴について教えてください。

A

1.アルミニウムとは

アルミニウムは原子番号13の元素です。(元素記号Al)。銀白色の金属で、常温常圧で高い熱伝導性・電気伝導性を持ち、加工性が良く、軽量であるため幅広く用いられています。

空気中では表面に酸化皮膜を形成するため、耐食性に優れています。濃硝酸に対しても不動態になるため侵されませんが、酸化皮膜を溶かすようなアルカリ、塩酸や塩化物などのハロゲン化物溶液には侵されやすい傾向があります。

以上の特性により、化学工業・醸造・電気・照明・熱交換・光学・紡績・医療・薬品・衛生・酪農用各種器具機材・チューブ容器および建築・機械・航空機・船舶・車両用各部品・食器類・家具類・工芸品などに用いられるほか、線材としてモーター巻線・架空送電線、箔として食料品・たばこ・写真乾板などの包装用、粉末として塗料・テルミット・爆薬などの特殊目的にそれぞれ純度に応じて用いられています。

 

2.アルミニウム及び合金の番号について

展伸用アルミニウム合金は4桁の国際アルミニウム合金名で種類を分類されます。

JISでは接頭語としてAを付け、続く4桁の数字(国際アルミニウム合金名)で合金分類を示します。第1位の数字は合金系統を、第3、4位の数字は個々の合金の識別を示します。第2位の数字が0は基本合金を、1以降の数字は基本合金の改良または派生合金であることを示します。第2位が数字ではなくNになっている番号があるが、日本独自の合金または国際登録合金以外の規格による合金です。

アルミニウムは4桁の合金番号に続けて形状や加工法の記号が付けられます。

 

P…板、条、円盤(Plate)

PC…合わせ板(Plate Clad)

H…箔(Haku)

BE…押出棒(Bar Extruded)

BD…引抜棒(Bar Drawn)

W…線(Wire)

TE…押出管(Tube Extruded)

TD…引抜管(Tube Drawn)

TW…溶接管(Tube Welded)

 

さらにハイフンに続いて質別記号(JIS H0001に規定)を付けて表示されます。基本記号として以下の5つに分けられます。

 

F…製造したままのもの。加工硬化または熱処理について特別の調整をしない製造工程から得られたままもの。

O…焼き鈍ししたもの。展伸材については、最も軟らかい状態を得るように焼き鈍ししたもの。鋳物については、伸びの増加または寸法安定かのために焼き鈍ししたもの。

H…加工硬化したもの。適度の軟らかさにするための追加熱処理の有無に関わらず、加工硬化によって強さを増加したもの。

W…溶体化処理したもの。溶体化処理後常温で自然時効する合金だけに適用する不安定な質別。

T…熱処理によってF・O・H以外の安定な質別にしたもの。安定な質別にするため、追加加工硬化の有無に関わらず、熱処理したもの。

さらに、後ろに1~4桁の数字が付き細分化されます。

 

(例)

A7075P-T651は超々ジュラルミン7075合金の板材で、溶体化処理後残留応力を除去し、更に人工時効硬化処理をしたものです。

 

 

以下、4桁の合金番号と括弧内には記号を示します。

 

  • 1000番台

1000番台のアルミは純度99%以上の純アルミです。下2桁の数字は純度を表しており、例えばA1050は純度99.5%を表しています。強度が必要でない部品や電気器具などに用いられます。

 

1085(A1085)…純Alのため強度は低いが、成形性、溶接性及び耐食性に優れます。反射板、照明器具、装飾品、化学工業用タンク、導電材などに用いられます。

1080(A1080)…上に同じ

1070(A1070)…上に同じ

1060(A1060)…導体用アルミニウムで電気伝導性に優れます。ブスバーなどに用いられています。

1050(A1050)…1085や1080などに同じ。

1050A(A1050A)…1050より若干強度が高い合金

1100(A1100)…強度は比較的低いが、成形性、溶接性及び耐食性に優れます。一般用器物、建築用材、電気器具、各種容器、印刷版などに用いられます。

1100A(A1100A)…1100よりも若干強度が高く、成形性も優れています。日用品などに用いられます。

1200(A1200)…1100に同じ

1230A(A1230A)…展延性及び耐食性が良い。アルミニウム箔地に用いられる。

 

  • 2000番台

2000番台は熱処理をしたアルミと銅の合金です。2017はジュラルミン、2024は超ジュラルミンと呼ばれる鋼種です。

 

2014(A2014)…強度が高い熱処理合金である。合わせ板は、表面に6003を貼り合わせて耐食性を改善したものである。航空機用材、各種構造材などに用いられる。

2014A(A2014A)…2014より若干強度の低い熱処理合金。

2017(A2017)…熱処理合金で強度が高く、切削加工性に優れます。航空機用材、各種構造材などに用いられます。

2017A(A2017A)…2017より強度の高い合金。

2219(A2219)…強度が高く、耐熱性及び溶接性に優れます。航空宇宙機器などに用いられます。

2024(A2024)…2017より強度が高く、切削加工性に優れます。合わせ板は、表面に1230を貼り合わせ、耐食性を改善したものです。航空機用材、各種構造材などに用いられます。

2124(A2124)…航空機用材などに用いられます。

 

  • 3000番台

3000番台はアルミとマンガンの合金です。

 

3003(A3003)…1100より若干強度が高く、成形性、溶接性、耐食性に優れます。一般用器物、建築用材、船舶用材、フィン材、各種容器などに用いられます。

3103(A3103)…上に同じ

3203(A3203)…上に同じ

3004(A3004)…3003より強度が高く、成形性に優れ、耐食性にも優れます。飲料缶、屋根板、ドアパネル材、カラーアルミ、電球口金などに用いられます。

3104(A3104)…上に同じ

3005(A3005)…3003より強度が高く、耐食性も優れています。建築用材、カラーアルミなどに用いられます。

3105(A3105)…3105より若干強度が高く、成形性、耐食性に優れます。建築用材、カラーアルミ、キャップなどに用いられます。

 

  • 4000番台

4000番台はアルミとケイ素の合金です。

 

4032(A4032)…鍛造に適しており、中温(200℃)での強度が高く、熱膨張係数が小さく、耐摩耗性に優れます。ピストンなどに用いられることが多いです。

4043(A4043)…主に溶接の溶加材として用いられます。

 

  • 5000番台

5000番台はアルミとマグネシウムの合金です。

 

5005(A5005)…3003と同程度の強度があり、耐食性、溶接性及び加工性に優れます。建築内外装材、車両用装材などに用いられます。

5110A(A5110A)…3003と同程度の強度があり、化学または電解研磨などの光輝処理後の陽極酸化処理で高い光輝性が得られます。成形性及び耐食性も良い。装飾品、台所用品、銘板などに用いられます。

5021(A5021)…5052と同程度の強度であり、耐食性及び成形性に優れます。飲料缶用材などに用いられます。

5042(A5042)…5052と5182との中程度の強度の合金で、耐食性及び成形性に優れます。飲料缶用材に用いられます。

5050(A5050)…建築用材、冷凍機用材、電子機器用材などに用いられます。

5052(A5052)…中程度の強度をもった代表的な合金で、耐食性、成形性及び溶接性に優れます。船舶・車両・建築用材、飲料缶などに用いられます。

5154(A5154)…5052と5083の中程度の強度をもった合金で、耐食性、成形性及び溶接性に優れます。船舶・車両用材、圧力容器などに用いられます。

5254(A5254)…5154の不純物元素を規制して過酸化水素の分解を抑制した合金で、その他の特性は5154と同程度です。過酸化水素容器などに用いられます。

5454(A5454)…5052より強度が高く、耐食性、成形性及び溶接性に優れます。自動車用ホイールなどに用いられます。

5754(A5754)…5052と5454との中程度の強度をもった合金です。

5456(A5456)…高強度の溶接構造材、圧力容器、船舶用材などに用いられます。

5082(A5082)…5083とほぼ同程度の強度があり、成形性及び耐食性に優れます。飲料缶などに用いられます。

5182(A5182)…上に同じ

5083(A5083)…非熱処理合金中で最高の強度があり、耐食性及び溶接性に優れます。船舶・車両用材、低温用タンク、圧力容器などに用いられ、特殊級のA5083Sは液化天然ガス貯槽に用いられます。

5086(A5086)…5154より強度が高く、耐食性の優れた溶接構造用合金です。船舶用材、圧力容器、磁気ディスクなどに用いられます。

 

 

  • 6000番台

6000番台はアルミとマグネシウムとケイ素の合金です。わずかに銅を含むものもあります。

 

6101(A6101)…高強度導体用合金で、電気伝導性に優れます。ブスバーなどに用いられます。

6061(A6061)…耐食性が良好で主にボルト・リベット接合の構造用材として船舶・車両用材及び陸上構造物などに用いられます。

6082(A6082)…6061とほぼ同程度の強度があり、耐食性に優れます。スキーなどに用いられます。

 

  • 7000番台

7000番台はアルミと亜鉛とマグネシウムの合金、または更に銅との合金です。特に7075は超々ジュラルミンとして知られます。

 

7204(A7204)…強度が高く、耐食性も良好な溶接構造用合金です。車両その他の陸上構造物に用いられます。

7010(A7010)…7075とほぼ同程度の強度をもった合金です。航空機、その他構造材などに用いられます。

7050(A7050)…上に同じ。

7075(A7075)…アルミニウム合金中高い強度をもつ合金の一つでありますが、合わせ板は、表面に7072を貼り合わせ、耐食性を改善したものです。航空機用材、スキーなどに用いられます。

7475(A7475)…7075とほぼ同程度の強度があり、靭性に優れます。超塑性材、航空機用材などに用いられます。

7178(A7178)…7075より強度が高い合金です。バット用材、スキーなどに用いられます。

 

  • 8000番台

8000番台は上記以外の系統のアルミ合金です。

 

8011A(A8011A)…箔地用材などに用いられます。

8021(A8021)…1230Aよりも強度が高く、展延性及び耐食性に優れます。アルミニウム箔地、装飾用、電気通信用、包装用などに用いられます。

8079(A8079)…上に同じ

 

※A1060とA6101は導体用として使用する場合に限る。

※合わせ板の1230、6003、7072は合わせ板の皮材に使用する場合に限る。

 

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