黒染めについて教えてください。
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黒染めとは
黒染めとは、金属表面に四三酸化鉄皮膜(Fe3O4、いわゆる黒サビ)を生成する化成処理のことを指します。黒染めは、BK(Blackening)、フェルマイト(フェロマイト)、SOB処理、アルカリ処理とも呼ばれますが、一般的には黒染めと呼ばれることが多いです。黒染めは、第二酸化鉄(Fe2O3、いわゆる赤サビ)の発生を四三酸化鉄皮膜によって防止・抑制することを主な目的とします。
(赤サビは鉄の自然酸化によって生成する一般によく見かけるサビで、非常に脆いでし。よって赤サビの発生は鉄の腐食ととらえられます。)
(SOBとはJIS B0122に規定されている加工方法記号の一つで、黒染めを意味する記号です。Sは表面処理(Surface treatment)、Oは着色(Colouring)、Bは黒染め(Blackening)です。着色がOなのは、Cが洗浄(Cleaning)の記号として先に使われているためです。)
黒染めのメリット
黒染めの主な目的は前述の通りですが、他にも黒染めのメリットが存在します。
①剥がれない
黒染めは化成処理で鉄表面に皮膜を形成しているので、メッキや塗装のように剥がれることがありません。そのため、黒染めは表面処理として長持ちします。
②寸法変化が少ない
黒染めでできた皮膜の厚さは1~2µmで非常に薄く、鉄表面を皮膜に化学変化させたものなので、寸法変化を抑えられます。
③外観性能の向上
黒染めは、表面が深みのある黒光沢になり、見栄えがいいです。そのためインテリア製品などデザインを重視する製品に黒染めが用いられることがあります。また、金属の光の反射を抑え、反射光が眩しいということが少なくなるため、作業性の向上にもつながります。
④耐熱性の向上
黒染め工程は(鋼材にとって)処理温度が低温(下記参照)であり、材質に対するダメージが少ない上に、四三酸化鉄皮膜自体が耐熱性に優れます。
⑤安価である
黒染めは化学反応を利用しているので、メッキや塗装に比べて価格が安いです。
黒染めのデメリット
黒染めのデメリットをご紹介します。
①黒色にしかならない
黒染めは、黒染めの加工業者や薬品の調合具合によっても若干の差はあるものの、黒色以外の着色はできません。(そもそも四三酸化鉄が黒色の物質だから仕方がないです)
②完全な耐食性は持っていない
黒染めでできた四三酸化鉄皮膜はある程度の耐食性を持ちますが、多孔質を形成しており、防錆油などを塗布して多孔を埋めないと、腐食が早くなります。
黒染めの原理・反応
黒染めの原理は、高温(130℃~150℃)の苛性ソーダ溶液(水酸化ナトリウム溶液)中における酸化還元反応によるものです。
①鉄が酸化剤により第二酸化鉄を生成する。
4Fe+3O2→2Fe2O3
②第二酸化鉄が水酸化ナトリウムと反応し、鉄酸ソーダになり溶出する。
2Fe2O3+8NaOH+O2→4Na2FeO4+4H2
③鉄酸ソーダが還元されて四三酸化鉄となり、鉄表面に化成される。
3Na2FeO4+5H2→Fe3O4+6NaOH+2H2O
黒染めの工程
黒染めの工程をご紹介します。
①脱脂
黒染めにおいて、防錆油や切削油などの油脂を除去しないと、むらが生じる・密着性低下・色調の悪化など黒染めに悪影響があるので、脱脂剤に浸けて油脂を除きます。その後、水で脱脂剤をすすぎます。
②酸洗
脱脂では除去できない表面皮膜・酸化スケール等を酸で除き、その後、水で酸をすすぎます。
③黒染め
黒染めの反応を起こして、黒染めをします。
④防錆
前述の通り、黒染めでできた皮膜は多孔質であり、その隙間から酸化が進むことがあるので、水置換性or水溶性防錆剤に浸けて、防錆処理を行い、隙間を埋めます。
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