研削加工について詳しく教えてください。
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研削加工とは
研削加工とは、高速回転している研磨砥石を用いて、加工物の表面を削り、滑らかな面を得る機械加工の一種です。
研削加工の種類
研削加工は大きく「自由研削」と「機械研削」の2つに分けられます。
自由研削
機械を保持、もしくは加工物を押し当てて研削する加工法です。この場合、砥石か加工物のどちらかは非固定となります。グラインダなどでの研削は、自由研削に当たります。
機械研削
加工物を加工機械に固定し、固定された砥石を用いて研削する加工法です。この場合、砥石と加工物の両方が固定されています。平面研削盤や円筒研削盤での研削は、機械研削に当たります。
研削加工を行う設備
ここからは研削加工を行う設備について、説明いたします。
グラインダ
まずはグラインダです。グラインダの中でも、ポータブルグラインダ、ディスクグラインダ、アングルグラインダ、卓上グラインダなどがあります。
①ポータブルグラインダ(ストレートグラインダ)
端に円筒状砥石が付いた主軸を回転させることで加工するハンディタイプの電動工具です。溶接ビードの除去や角度の付いた場所の研削、バリ取りに適しています。
②ディスクグラインダ
円盤状の砥石を回転させることで加工する電動工具で、主に切断や研磨に使用し、砥石を交換することで金属だけでなく石材や木材の加工もできます。現場ではサンダーと呼ばれることが多い工具です。
③アングルグラインダ
角度のついたグラインダです。圧縮空気で砥石を回転させることで振動を少なくしたエアー駆動タイプのものが多く、金属の研削、研磨やサビ取りに使用されます。地面と垂直になる壁面などでの作業やポータブルグラインダでは工具が引っかかるような狭い場所での作業に適しています。
④卓上グラインダ
機器を卓上に固定し、回転する砥石に素材を当てて加工する電動工具です。仕様や用途によりいくつかのタイプに分かれるます。固定出来ない小さな素材を加工できます。
研削盤
研削盤も、その名の通り、研削加工を行う設備です。
①平面研削盤
平面加工を行う研削盤です。加工物の運動を決めるテーブル(角テーブル、丸テーブル)と加工物の対する砥石の向き(横軸、縦軸など)の組合せによっていくつかのタイプに分かれる。
②円筒研削盤
加工物をセンタで保持して回転させ、砥石で円筒外面を加工する研削盤です。また、円筒状加工物の平面部を加工することもできます。
③内面研削盤
加工物の円筒内面に砥石を挿入し加工する研削盤です。主に普通型とプラネタリ型の2つがあります。
・普通型
加工物と砥石を回転させ、砥石を円筒内面に入れ、砥石の切込み、前後の送りにより研削を行う方式です。
・プラネタリ型
加工物を固定し、回転する砥石を円筒内面に入れ、砥石の回転軸を加工物中心に対して回転させる(遊星運動)ことで研削する方式です。加工物が大きい場合やバランスの取りにくい形状のものに用いられます。ただし、精度は普通型に劣ります。
④プロファイル研削盤(倣い研削盤)
加工物を光学投影して、製品図を拡大した半透明のフィルム(チャートという)と重ね合わせて比較し、異なる部分を手動もしくはNC制御により砥石を動かして加工する研削盤です。
⑤心なし研削盤
円筒工作物を支持刃、調整車、砥石の3つで受け、センタを使わずに円筒外面または内面を加工する研削盤です。円筒研削よりも精度は劣るが、ある程度の精度を一様に保ち、センタがないので自動供給装置と組み合わせて円筒工作物の量産に対応できます。
⑥歯車研削盤
歯車の歯面を加工する研削盤です。研削方法により創成研削盤と成形研削盤の2つに分かれます。
・創成研削盤
歯車とネジ状の砥石が相対的に動くことで研削する方法をとる研削盤です。ネジ状砥石の条数により、加工可能な歯数が変化するため、条数を増やすことで加工時間の短縮に繋がります。よって、大量生産品に用いられることが多い設備です。
・成形研削盤
歯車の歯形と同じ形状の砥石で歯面を研削する方法をとる研削盤です。一歯ずつ加工するため、量産には向かず、単品や試作などに用いられます。
研削加工が求められる製品・用途
研削加工した製品は身の回りに多く存在します。研いで切れ味を維持するハサミやナイフなどの刃物や削ることにより装飾を施す切子などのカットグラスなど日常的に使用している製品もあります。自動車産業、工作機械、軸受産業などで研削加工は日本のモノづくりを支えています。
切削加工と研削加工
切削加工は材料を切り削って加工することであり、研削加工は表面を砥石で削り取り加工することであす。切削加工は加工物を目的形状に近づけるのが主な目的で、研削加工は表面を仕上げる又は加工物の精度を高めるのが目的となります。
研削加工のメリット・デメリット
研削加工のメリット・デメリットについてご説明します。
メリット
①高精度である
研削砥石は多数の微小な切れ刃からなり、切れば当たりの加工物の除去量が非常に小さいため、加工精度や面粗度に優れます。
②硬い加工物でも加工できる
研削砥石の切れ刃はとても硬い(ダイヤモンドなど、砥石による)ので、通常の切削工具では加工できない硬い材料でも加工することができます。また、陶磁器も加工できます。
③自生作用がある
研削砥石は使用中に切れ刃が摩耗すると、切れ刃が破砕され新しい切れ刃を生じます。この自生作用によって、一般の切削工具のように研ぎ直すということが必要ありません。ただし、定期的に砥石の型直し(ツルーイング)や目立て(ドレッシング)を行う必要はあります。
デメリット
①加工時間が長い
加工物を少しずつ削り取るため、加工そのものに長い時間がかかります。
②冷却が必要
研削加工中は温度が1000℃を超える高温となり、やけ・われの原因となります。これを抑えるため、研削液で十分に冷却を行う必要があります。
③研削についての知識が必要
加工方法や研削砥石に対しての専門知識や技術が必要となります。
④事故が発生するリスクがある
研削砥石は高速で回転しているため、扱いに注意しなければ重大な事故を引き起こす可能性があります。砥石の最高使用周速度を超えない、加工物を砥石に強く当てすぎないなどの点に注意することが重要です。
加工部品調達サービスについて
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加工部品の基礎について
- Q.1 :
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