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炭素鋼の種類と用途について教えてください。

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炭素鋼についてはこちらの記事をご覧ください。

>>炭素鋼の特徴について

①冷間圧延鋼板

冷間圧延鋼板はJIS G3141「冷間圧延鋼板及び鋼帯」に規定されている鋼材でSPC材とも言います。SPCはSteel Plate Coldの略です。鋼材としてはSPCC、SPCD、SPCE、SPCF、SPCGの5種類があります。

 

・SPCC(Steel Plate Cold Commercial)…一般用

・SPCD(Steel Plate Cold Deep Drawn)…絞り用

・SPCE(Steel Plate Cold Deep Drawn Extra)…深絞り用

・SPCF…非時効性絞り用

・SPCG…非時効性深絞り用

 

SPC材は炭素含有量が0.15%以下の低炭素鋼で、最も炭素量が少ない炭素鋼です。以下SPC材の化学成分を示します。(単位は%)

 

SPCC…C(炭素)0.15以下、Mn(マンガン)1.00以下、P(リン)0.100以下、S(硫黄)0.035以下

SPCD…C(炭素)0.10以下、Mn(マンガン)0.50以下、P(リン)0.040以下、S(硫黄)0.035以下

SPCE…C(炭素)0.08以下、Mn(マンガン)0.45以下、P(リン)0.030以下、S(硫黄)0.030以下

SPCF…C(炭素)0.06以下、Mn(マンガン)0.45以下、P(リン)0.030以下、S(硫黄)0.030以下

SPCG…C(炭素)0.02以下、Mn(マンガン)0.25以下、P(リン)0.020以下、S(硫黄)0.020以下

 

SPC材はSPH材(JIS G3131「熱間圧延軟鋼板及び鋼帯」に規定されている)を冷間圧延して作られています。製鋼工程でできた鋼を熱して、上下からローラーで挟んで圧延(熱間圧延)し成形した鋼材がSPH材であり、更に酸洗い等を行い常温で圧延(冷間圧延)して成形した鋼材がSPC材です。

SPC材の特徴としては、上記の通りSPH材を冷間圧延で再度加工しているので、黒皮が無く、表面は滑らかで美しい仕上がりになるということです。また、圧延しているので、厚さの精度が良いといった特徴もあります。

 

SPCCにおいて厚さは「0.5mm」「0.8mm」「1.0mm」「1.2mm」「1.6mm」「2.0mm」「2.3mm」「2.6mm」「2.9mm」「3.2mm」が流通しており、特に1.6mmと2.0mmのものは入手性が高くなっています。

 

3.2mmの板金を用いる場合はSPC材(特にSPCC)が良い。強度は高くないので、力を受けない部分(カバーなど)に用います。強度が必要な場合はSS材を検討します。

SPH材を再度加工しているのでSPC材はSPH材よりも少し値段が高いです。よって見える部分に表面が良いSPCCを、見えない部分はSPHCを使うことも多々あります。

鋼板なので加工は切断、曲げ、溶接が主で、切削加工は穴あけ、ネジ加工に限られます。

SPC材は錆びやすいので、加工後に塗装・メッキなどの表面処理を施す必要があります。

 

 

②一般構造用圧延鋼材

一般構造用圧延鋼材は、JIS G3101「一般構造用圧延鋼材」に規定されている鋼材でSS材とも呼ばれます。引張強さの下限で定められていますが、SS540を除いて炭素量の規定はあります。炭素量としては約0.25%以下の低炭素鋼であります。

(「SS400について」を参照。以下略)

 

 

③機械構造用炭素鋼

機械構造用炭素鋼は、JIS G4051「機械構造用炭素鋼鋼材」に規定されている鋼材でS-C材(SC材)とも言います。S○○Cの20種が規定されています。○○に入る数字は炭素量を表しており、代表的な鋼種です。S45Cの場合、含有炭素量は0.45%ということを示しています。S10CからS58Cまで様々な炭素量の鋼材がある。SS材とは異なり、化学成分が細かく規定されています。

 

S45C(%)

C(炭素)0.42~0.48

Si(ケイ素)0.15~0.35

Mn(マンガン)0.60~0.90

P(リン)0.030以下

S(硫黄)0.035以下

 

SC材は強度の規定はありませんが、熱処理が可能で強度を上げることができるので、強靭性を必要とする機械部品や重要な構造用部品に用いられます。通常、生で使用することが多いですが、硬さが必要な場合熱処理を行われます。炭素量が0.3%以下のものは焼ならしを、0.3%以上のものは焼ならしか強靭性を増すための焼入れ・焼戻しを行って使用されます。

 

 

④炭素鋼鋳鋼品

炭素鋼鋳鋼品は炭素鋼を溶かし鋳造したものです。JIS G5101「炭素鋼鋳鋼品」で規定されています。炭素鋼鋳鋼品は「SC360」「SC410」「SC450」「SC480」の4種類あり、SCの後ろに付く数字は、SS材と同様に引張強さの下限値です。また、炭素量も規定されています。(単位は%)

 

SC360 C(炭素)0.20以下

SC410 C(炭素)0.30以下

SC450 C(炭素)0.35以下

SC480 C(炭素)0.40以下

(各種ともP(リン)0.040以下、S(硫黄)0.040以下です。)

 

鋳鋼品の特徴として、(1)複雑形状の部品を製造できる、(2)量産性に優れる、(3)型に流すので寸法精度を出しやすい、(4)溶鋼を直接製品化するので生産工程を省略できコスト面に優れる、などが挙げられます。ただし、製法の性質上、内部組織が不均一で脆弱になりがちであり、「鬆(す)(本来、均質であるべきものの中にできた空洞)」がでることもあります。(技術の向上により改善されつつあります。)

用途として発電機用タービン、圧延機用ロール、車両の連結器などが挙げられ、更に他部品との溶接などでより複雑な部品を作ることができます。

 

 

⑤炭素鋼鍛鋼品

炭素鋼鍛鋼品は炭素鋼のインゴットを加熱し、プレス機などを用いて鍛造し成形したものです。JIS G3201に「炭素鋼鍛鋼品」で規定されています。炭素鋼鍛鋼品は9種類が規定されており、SF(3桁の数字)(AかB)で表されます「例:SF340A」。3桁の数字はSS材と同様に引張強さの下限値です。AまたはBは熱処理の違いで、Aは焼なまし、焼きならし又は焼ならし焼戻しで、Bは焼入れ焼き戻しです。炭素鋼鍛鋼品の化学成分は種類を問わず規定されています。(単位は%)

 

C(炭素)0.60%以下、Si(ケイ素)0.15~0.50、Mn(マンガン)0.30~1.20、P(リン)0.030以下、S(硫黄)0.035以下

 

鍛鋼品は圧力をかけて鍛えているので、金属組織が緻密で強度に優れているという特徴があります。用途としては航空機や自動車の部品に限らず、幅広い分野で鍛鋼品が使われています。

 

 

⑥炭素工具鋼

炭素工具鋼は、JIS G4401「炭素工具鋼鋼材」に規定されている鋼材でSK材ともいいます。炭素工具鋼は11種類の鋼材がある。後ろに付く数字は炭素量を表しているが、1ケタの数字の場合、旧JISの記号なので、新JISの記号と対照します。

 

・SK140(SK1)

・SK120(SK2)

・SK105(SK3)

・SK95(SK4)

・SK90

・SK85(SK5)

・SK80

・SK75(SK6)

・SK70

・SK65(SK7)

・SK60

※括弧書きが旧JIS記号です。

 

SK材の含有炭素量は0.6~1.5%で高炭素鋼です。熱処理を行うことで硬度を出すことができます。しかし焼入れ性が小さく、水冷するので寸法が大きいと芯部まで硬さが入らないことがあります。また、SK材は高温になると硬度が低下する特徴があるので、熱の発生が少ない手工具、例えばヤスリ・カミソリ・たがね・のこぎり・ぜんまい・プレス型などの用途に用いられます。

>>炭素鋼とステンレスの違いについて

 

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