金属の切削性、被削性について
切削とは
切削とは、切削工具類を用いて対象物を切り削る加工のことを指します。切削は、切削工具の刃先により被加工材を物理的に切り込み割り裂いて、被加工材を削り出し切りくずとして排除しながら、刃先を連続的に押し進めることにより、切削は行われます。切りくずとなる部分の被加工材は、刃先から破壊を受け、切削工具の面を滑りながら変形し、最終的に被加工材から取り除かれます。
切削性・被削性とは
切削性とは一般的な切削加工そのもののしやすさのことを指します。また、被削性とは材料の切削されやすさ(しやすさ)を意味します。
被削性が良いとは、どういうことか
被削性が良い材料とは一般に以下の特徴を持つ材料のことを指します。(括弧内には逆に被削性が悪い材料の特徴を示しています)
・切削工具の寿命が長く、安定する(短く、不安定)
・切削時の温度が上がりにくい(高温になる)
・切りくずが処理しやすい(切りくずが伸びる、振動が起こる)
・切削の抵抗が低い(高い)
・きれいな仕上げ面になる(バリなどが出やすい)
・短い加工時間でできる(長い加工時間)
ただし、下記の影響や時間、工作機械、工具、作業者、規模など様々な要素があるので、条件によっては被削性が良い材料だと一概にはいえません。
被削性に及ぼす影響
以下に被削性に及ぼす影響を記載します。
硬度
被削材の硬度が高いと、切削工具の摩耗が激しくなります。また、切削時の衝撃も大きくなるので切削抵抗も高くなります。逆に硬度が低すぎると、切削時の摩擦熱で被削材の一部が溶けて工具刃先に付く溶着・凝着が起こり、刃先が細かく欠けるチッピングが発生し、仕上げ面の粗さが悪くなる可能性があります。また、硬度が低い材料は切りくずが分断されにくく、切りくずが仕上げ面を傷つける可能性もあるため、切りくずの処理も考える必要があります。被削材の硬度は硬すぎず軟らかすぎない硬度が切削には良く、ブリネル硬さが180~200HB程度のものが切削しやすいとされています。
靭性(粘り強さ)
靭性(粘り強さ)の大きい被削材は、工具刃先で切り分けにくく、切削抵抗が高いという特徴があります。また、切りくずも分断されにくくなり、振動を伴うこともあるため、チッピングに注意する必要があります。
強度
強度が高い(歪みにくい、変形しにくい)被削材は切削抵抗が高くなり、摩擦熱もあるので、刃先の変形や損傷が発生しやすくなる傾向にあります。
展延性
展延性が良い被削材は、軟らかい材料であることが多く、切削時の切りくずが分断されにくいので、伸びた切りくずによって仕上げ面を傷つける可能性があります。
熱伝導率
熱伝導率が低い被削材を切削すると、摩擦熱が切りくずや被削材に移らず、刃先に集中し高温になります。それにより切削工具が軟化し、工具の変形、損傷、摩耗が発生しやすくなります。熱伝導率が高い被削材は、切削時の摩擦熱が切りくずや被削材により分散し、工具への熱の影響を抑えることができます。
加工硬化性
加工硬化とは金属の塑性変形によって硬くなる現象のことを指します。加工硬化しやすい被削材は硬化した部分が工具の損傷を生じることがあります。
親和性
親和性とは物質同士の結合しやすさのことを指します。工具と被削材の親和性が高いと反応しやすくなり、溶着や摩耗が促進されます。
硬質粒子
硬質粒子が含まれている被削材は、硬質粒子により工具の損傷や摩耗が発生しやすくなります。
被削材の分類
1958年、ISOが切削超硬合金の選択基準を定め、JISもこれにならいJIS-B5043にて超硬合金の使用選択基準を定めました。当初、JISでは切りくずの形態により、P,M,Kの3つに分類し、切削方式・条件を基準とした2桁の数字をつけて細分類していました。しかし、2003年、ISO規格では材料の被削性を基準とし新たに6つの分類方法を提唱しています。
①P 主に炭素鋼や低合金鋼などの鋼
②M ステンレス鋼
③K 鋳鉄
④N アルミなどの非鉄金属
⑤S 耐熱合金・チタン合金
⑥H 高硬度鋼
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